1.関西大学カイザー・プロジェクト
特別セミナー「時間項を考慮した3次元CADエンジンの開発に関する最終報告会」
(2012年12月8日、関西大学東京センターで開催)
関西大学カイダー・プロジェクトは、わが国の建設業界の競争力の維持、発展に貢献するため3次元CADを迅速かつ低コストに普及させることを目的として三次元CADエンジンの設計・開発を関西大学総合情報学部 田中 茂典 教授が中心となり企業9社(三菱電機株式会社、富士電機株式会社、株式会社フォーラムエイト、株式会社建設システム、江守商事株式会社、アイサンテクノロジー株式会社、株式会社建設技術研究所、日本工営株式会社および関西大学発のベンチャー企業の株式会社関西総合情報研究所)が参画するプロジェクト組織を構築して2008年6月より2012年12月まで提案型産学連携による研究開発活動が実施されました。特別セミナーは、3次元CADエンジンの完成を記念して本プロジェクトの最終報告会を開催、約200名の建設・土木関係者の参加がありました。
楠見 晴重 関西大学学長の開会の挨拶に続いて報告会は、前半の2件の特別講演と後半の研究開発の成果に関する講演の2部構成で進められた。
特別講演は、ブリティシュコロンビア大学工学部 トーマス フローズ 教授による「建設業界における情報技術の傾向」と国土交通省国土技術政策総合研究所 高度情報化研究センター 重高 浩一 情報基盤研究室長による「河川分野の三次元CADデータの生成・活用技術の取り組みー関西大学・近畿地方整備局・国土交通省国土技術政策総合研究所による官学連携の最新動向―」で本プロジェット関連の国内外最新動向についての講演がありました。
開発された3次元CADエンジンに関する講演とデモンストレーションは、本プロジェクトの全体像と今後の展開について田中 茂典 教授、本プロジェクトの研究開発の成果の詳細について本プロジェクトを中心になって推進した田中 茂典 教授の研究室の卒業生達(岩手県立大学 ソフトウェア情報学部 窪田 論 講師、大阪経済大大学 情報社会学部 中村 健二 准教授、阪南大学 経済情報学部 北川 悦司 准教授および宮城大学 事業構想学部 物部 寛太郎 助教)によって行われました。3次元CADエンジンのデモンストレーションは、株式会社フォーラムエイト VR開発グループ 佐藤 隆一 氏によって行われました。
今後、開発された三次元CADエンジンは、プロジェクト参画企業のドメインCADに実装されるとともに全国の高校・高専や大学に無償で提供されます。さらに、3次元CADエンジンを建設生産プロセスでの活用に業界横断的な知恵を集約することで建設・土木分野の三次元システムの普及に大きなブレイクスルーが生まれる可能性が期待されています。
最後に、本プロジェクト運営を担当したプロジェクトマネジメントシステムオフィスのメンバーの一人である日本工営株式会社 小松 淳 情報基盤センター長が閉会の挨拶で、本プロジェクトの大きな成果として、3次元CADに関するノウハウ・技術の蓄積と人材育成の場となったことが評価できると述べられ産学連携の新しい方向性を示唆したプロジェクトの最終報告会は終わりました。
2.高松塚古墳壁画発見40周年記念講演会「それぞれの高松塚―40年の歴史とこれからの明日香」(2012年11月17日、明日香村中央公民館で開催)
高松塚古墳(特別史跡)での極彩色壁画の考古学上、戦後最大の発見から2012年が40年の節目にあたります。それを記念する講演会が、晩秋には珍しい激しい雨が降る飛鳥の地で約250名参加して開催されました。講演会は、発掘調査やその後の保存、石室解体に至った壁画の劣化など壁画に直に接した関係者による記念講演とパネルディスカッションが実施されました。
森川 裕一 明日香村村長の開会の挨拶に続いて、猪熊 兼勝 京都橘大学 名誉教授による記念講演「高松塚を見守り続けて」が行われました。
高松塚古墳の壁画の発見は、人々に文化財の重要性を浸透させたが、壁画の劣化は、文化財の保存・修復の困難さを提起したこと、さらに、解体修理を終えた壁画の保存・公開について述べられました。
続くパネルディスカッションでは、これまでの経緯と今後の展望についてパネリストそれぞれの立場で語られました。パネリストは、猪熊 兼勝 名誉教授、田辺 征夫 大阪府文化財センター理事長、米田 文孝 関西大学文学部 教授、森岡 秀人 奈良県立橿原考古学研究所 共同研究員および森川 裕一 村長で、パネルディスカッションは、コーディネターの天野 幸弘 朝日新聞元編集委員によって進行されました。
高松塚古墳の壁画の発見は、その後の考古学にどう影響したか、高松塚の被葬者は誰か、壁画が劣化した原因や適切な保存対策が明らかにできるのか、文化財の保存と公開をどうするのか、関西大学ではどのように伝えて、研究・教育に展開しているのか、など尽きることのない課題を顕在化させ今後の取り組みに繋がる議論が展開されました。
最後に、森川 裕一 村長が閉会の挨拶で、かって古代先進地だった明日香村を屋根のないオープンミュージアムに見立てた「まるごと博物館」構想を目指していることを披露されて講演会は終了しました。
以上











