関西大学校友会
連携プロデューサー
田中 久仁雄
講演会は2013年12月13日八尾市立中小企業サポートセンターで公益社団法人砥粒加工学会バリ取り加工・研磨布紙加工技術専門委員会と共同開催されました。
「八尾バリテク研究会」は、ものづくりの現場での開催が大きな特長となっています。2003年9月に関西大学と八尾市が産学連携事業の包括契約を締結、事業の第一弾として同年12月に発足、2013年に創設10年を迎えました。
研究会は、関西大学システム理工学部 北嶋 弘一教授(現名誉教授)の指導で八尾市と関西大学が主導で八尾市内のものづくり企業12社で始まり(第一期)、次に八尾市立中小企業サポートセンターが中心に活動(第二期)、現在は、第三期として企業が主体となって活動、参加企業は23社になっています。多くの企業に支えられて確実に進化、この10年間、約70回の研究会を開催、バリ抑制、バリ取りに関して、現場、現物、現在に基づいた活動に取り組んでいます。地域の企業間の交流と連携を図りつつ着実な成果を上げています。
講演会は、「八尾バリテク研究会」の幹事の㈱塚谷刃物製作所 高野 浩次郎工場長の司会で代表幹事の㈱中田製作所 中田 寛 代表取締役社長、バリ取り加工・研磨布紙加工技術専門委員会 委員長 北嶋 弘一 関西大学名誉教授の挨拶に続いてバリ取り技術について新展開が期待される2件の記念講演がありました。
挨拶は、「八尾バリテク研究会」の多くの関係者のご支援とご協力に対する10年間の感謝とさらなる10年に向かってバリ取り、バリ抑制に関する課題の解決に貢献できるように新たに決意が述べられた。
講演は、講演1において、バリ取り加工の現状は機械によるバリ取り加工でも70%が人手による処理工程であり、この工程を完全自動化できる新しい工具の開発の取り組み、講演2において、バリ取りで課題となっている小径穴裏側の新しいバリ取り加工法とその有効性に関する研究成果について紹介された。
講演1 XEBECブラシを使用したバリ取り・研磨・カッターマーク除去の自動化
㈱ジーベックテクノロジー 代表取締役社長 住吉 慶彦氏
XEBECブラシは、独自に開発した繊維砥材で金型研磨からの発展であるため、研削力が高く、仕上げ効果あり、セラミック繊維のため、高い研削力が持続、変形せず最後までブラシ形状維持、バリ取り性能が持続、安定するため完全自動化が可能などの特長がある。繊維砥材は、セラミックファイバーが砥材の代わりで、直径10μmのセラミックファイバーを同一方向に1000本束ねた一本の線材で先端に研削力がある。その性能は、二次バリなし、バリ残りなし、カッターマークの除去も可能、樹脂から難削材まで幅広く対応、様々なインフラで使えるがNC機でのバリ取り自動化でメリット最大である。XEBECブラシの使用方法と生産ラインでのNC機でバリ取り完全自動化の事例を紹介。
講演2 ふれまわり放電加工による小径穴裏側のバリ取り技術
京都工芸繊維大学 機械システム工学部門 教授 大田 稔氏
ふれまわり放電加工は、工作物のドリル穴に穴径より小径の工具電極を挿入し、回転させるとある回転数(危険速度)付近で工具電極がふれまわり現象をおこし、工具電極とバリの間隔が短くなる。このとき、工具電極と工作物に電圧を印加すると、バリに対して放電が発生し、放電加工が行われる。それによりバリを除去する方法である。ふれまわり放電加工装置を開発し、ドリル穴加工によって小径穴の裏面側に発生したバリを除去する加工方法として、ふれまわり放電加工の有効性を実証。バリ取りに要する時間は工業的にも十分に実用に供するが、工具電極の消耗が大きいなど課題。
