2013年1月アーカイブ

 ㈱栗原製作所は、鶏卵包装容器である鶏卵パックを製造、販売する専門メーカーです。国内に出回る鶏卵パックの約70%(売上高換算)を製造しています。われわれの食生活に欠かせない卵は、たいていプラスチックのパックに入って販売されています。その鶏卵パックで全国トップシェアの企業です。鶏卵パックのみは、デパートや小売店で販売していませんが、「おたくの冷蔵庫にも"栗原"がいます。」と言われるように生活に密着した商品になっています。
 鶏卵パックは、10,8,6個入り用、防虫タイプ用、小判タイプ用、温泉卵用およびシュリンク用など数多くの種類を生産し、多様なニーズに応えています。ものづくりは、「Q・C・D・V」を基盤にしたビジネスモデルを構築、すなわち、より良い製品(Q)をより安く(C)、より迅速に対応(D)する多くの品種(V)を揃える独自のものづくりを推進しています。1-kurihara01.jpg 
 鶏卵パックは、ペットボトルなどに使用されているAPET(アモルファス ポリエチレン テフレタレート)樹脂を原材料に用いています。APET樹脂は、透明性が良く、強度があり、衝撃にも強く、燃やしても有害ガスが発生しない環境に配慮した素材です。それまでは鶏卵パックは、低コストの塩化ビニール樹脂製が一般的でしたが、今後は環境に配慮した企業の製品が求められるようになると考え、いち早くAPET樹脂への採用にチャレンジしました。
 栗原製作所は、自社で、APET樹脂のシートを生産し、そのシートから鶏卵パックを製造しています。自冶体などで回収されたペットボトルは、再生処理業者によって粉砕、洗浄、脱水、乾燥処理を施して製造されたリサイクル素材のボトルフレークを用いて鶏卵パック用シートへの製造技術を確立し、自社で開発した設備で生産しています。生産設備ラインは、ボトルフレークを押出機に入れ溶かして後、スクリーンを通過して異物を取り除きダイスと呼ばれる部分から押し出し、そして2本の冷却ロールで巻き込むことで一定厚さ、スリッターと呼ばれる部分でシートの寸法を調整します。この際に出た端材は原料として再利用するゼロエミッションを実行しています。
 このシートをヒーターで加熱して金型で挟み込むかたちで成型する設備で鶏卵パックのかたちに成型します。シートの製造から鶏卵パックの成型までの生産プロセスのシステム化を業界で初めて実現しました。その結果、短納期、コストダウン、高品質を実現し、鶏卵パックの単価を大幅に下げることができました。鶏卵パックのメーカーとしては後発であったが、塩化ビニール樹脂からAPET樹脂への環境に配慮したものづくり、シートの購入から自社製造へ経営環境の転換など、攻めのものづくりで鶏卵パックを供給するトップメーカーに躍進しました。1-kurihara03.jpg
 成型した鶏卵パックのままでは、卵をパックから取り出しにくいため、ミシン目印刷機でパックのみみの部分にミシン目を施し、ミシン目部分を印刷します。印刷は、鶏卵パックに入っている卵の大きさ(LL,L,M,MS)が判るようにそれぞれ赤、オレンジ、グリーン、ブルーに色別され卵の大きさの「見える化」を図り、顧客の立場に立った機能を付加しています。この色別は、出荷時、鶏卵パックを箱詰めするダンボールにおける卵の大きさの表示にも使い、多くの品種の鶏卵パックを効率良く正確に出荷可能にしています。さらに、商品管理のためのバーコードのラベル貼り付けも顧客の要望に応えるなど、多様な機能を付加して提供しています。
 外食産業など業務用の卵の場合は、一般の鶏卵パックでなく箱で購入されるため、1-kurihara02.jpg通常は古紙で作ったトレーが利用されています。栗原製作所は、新市場を目指して衛生面や冷蔵庫での保管を考えた業務用APET樹脂製鶏卵トレーを開発しました。いま、この業務用トレーの市場拡大を図っています。このトレーは、ダンボールを使わず、ラップのようなシュリンク包装で出荷する方法を採用し、省資源化に貢献しています。一般の鶏卵パックに匹敵する商品に着実に育っています。
 2012年9月19日、大阪府経営合理化協会主催の第5回「経営合理化大賞」で「フジサンケイビジネスアイ賞」を受賞しました。同賞は、新しいビジネスモデルを創造するなど先進的な経営を進めている中堅・中小企業を顕彰するものです。
 鶏卵パックは、栗原製作所が製造する単一アイテムの鶏卵包装容器です。今後、生産管理におけるQ・C・DにVを加えた独自のものづくりにより、利益を確保する仕組み(ビジネスモデル)や顧客層を見つけ出すマーケティングをさらに進化させ、鶏卵パックのリーディングカンパニーとして、市場の多様なニーズに敏感に応える鶏卵包装容器の提供を進めていきます。


所在地:〒639-1032
奈良県大和郡山市池沢町90-8 昭和工業団地内
代表者:代表取締役 栗原 照次郎
TEL:0743-56-2207
FAX:0743-56-2217
http://www.pack-kurihara.co.jp/

 ㈱マツバヤシは、さまざまな産業分野で使われている青銅鋳物の製造から機械加工まで鋳造技術と機械加工技術を基盤に事業を展開しています。青銅鋳物は、銅とすずの合金で加工性の良さと耐食性、耐摩耗性に優れた特徴があり機械部品、バルブ部品、ポンプ部品、電気部品などに用いられています。
 鋳物製造は、設計や型つくり、地金の配合、材質調整、鋳込み、熱処理、仕上げなどの複雑なプロセスをたどります。伝統的な鋳造技術に絶えざる技術革新で複雑な形状や肉厚の高品質な高機能製品を安定的に供給しています。1-matsubayashi01.jpg
 鋳物は、目的にあった合金を溶融し鋳型に流し入れ固めます。鋳型は、金属の種類や形状、重量に応じてさまざまな造形方法があります。マツバヤシは、主としてフラン鋳型を使用した鋳造技術を確立し、顧客の多様なニーズに対応しています。フラン鋳型は、原料として珪砂に離型剤、フラン樹脂などを添加し混練します。造形後は常温硬化し、また過熱すれば速やかに硬化します。さらに、型バラシが良いという利点があります。
 鋳物製造の専門メーカーとして、確かな生産技術と先進の生産設備、品質保証体制で厳しい要望に柔軟に応え、蓄積したノウハウと経験でものづくりを推進しています。マツバヤシの強みは、多種小ロットのオーダーメイドの鋳物製造ができることです。さらに、各種鋳物部品は、一般青銅鋳物をはじめ、リン青銅鋳物、アルミニウム青銅鋳物、鉛フリー青銅鋳物と幅広い材質要求にも対応できます。先ずはやってみる、やってできなければ別の方法を考え、難しい課題にも果敢に挑戦しています。自社でしかできないもの、他社でまねのできないようなオンリーワンのものづくりを理想に意気込みをもって取り組んでいます。
 バルブなど給水部品には青銅鋳物が広く用いられています。その多くは鉛を含有することにより鋳造性、加工性、摺動性、耐圧性を高めている銅合金鋳物です。人の健康や環境保全の立場から有害物質である鉛の規制が厳しくなり、鉛を含まない(鉛フリー)青銅鋳物の開発が関連業界で競争して行われています。
 マツバヤシは、無鉛は世界の流れ、省資源も世界の流れであることをコンセプトに、関西大学、滋賀バルブ協同組合および滋賀県北部工業技術センターと産学官連携で鉛フリー青銅鋳物の共同開発を実施、鋳巣の発生が少なく、鋳物の流動性が良好な硫化物分散型鉛フリー銅合金「ビワライト」を開発しました。この「ビワライト」は、2009年10月、青銅鋳物JIS CAC411として認定、規格化されました。開発の銅合金は、鋳造性、機械的特性、切削性など、一般青銅鋳物(JIS CAC406)と同等もしくはそれ以上であることが確認されています。「ビワライト」は、琵琶湖(滋賀県)に因んで名付けられました1-matsubayashi02.jpg一般に、希少金属であるビスマスやセレン添加型の銅合金鋳物や表面処理で鉛の溶出を抑制する方法が主流に行われていますが「ビワライト」は、これらの何れの手法にもない新しい発想から生まれた鉛フリー青銅鋳物です。低融点金属である鉛を含まないため、高温での使用や溶接、ろう付け、金型鋳造が可能となります。
 この開発は、2010年5月、日刊工業新聞社およびりそな中小企業振興財団主催の第22回中小企業優秀新技術・新製品の表彰で「優秀賞」、「産学官連携特別賞」および「環境貢献特別賞」のトリプル受賞をしました。
 現在、「ビワライト」の市場への普及戦略の展開を、鉛に関する規制が強化されつつある海外をターゲットに、株式会社ビワライト(普及と販売に特化した会社として滋賀バルブ協同組合が設立)と協働で行っています。すでに、米国の鋳物協会における評価試験などを実施しています。米国では2013年に鉛に関する規制が施行されます。マツバヤシは、米国の企業と製造技術に関する共同開発を実施中です。米国での成果を契機に、EUにおいてELV指令およびRoHS指令によって法規制されている欧州への展開も視野に入れています。また「ビワライト」は、人体への影響のない素材であることから工業分野以外に医療分野、食品加工分野に用途の拡大を図っています。
 鋳物製造は、ものづくりの基盤であり基幹産業であるために絶えざる進化は必要不可欠です。金属に未知の可能性を求めて、理論と経験で未来を創造するという一段高いレベルの鋳物製造を目指しています。これからもどれだけ社会に貢献できるか、鋳物の未来を見極めて、新しい発想と情熱で切り拓いていきます。

所在地:〒522-0057 滋賀県彦根市八坂町1083
代表者:取締役会長 松林 良蔵
 TEL: 0749-28-2255
 FAX: 0749-25-3513
http://www.biwa.ne.jp/~mtbys/

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